不思議な話を知ってるかい イスラエルの若者、港のBAR

お店を開いてしばらくしたころ
イスラエル人の若者がやってきて
どこかで見た顔だなーとおもったら
そうそう うちでライブをやってくれた音楽紙芝居(なんちゃら)座が
石川県でいっしょに写真にうつってた(のをUPしてた)
たしかイシくんとゆうはずだ
よくよくきいてみると「イシャイ」とほんとは発音するそうで
ここはひとつちがいをみせておくかと (だれにかしら)
「イシャイ」と呼んでみることにした

イシャイくんはナイスガイで
日本のことをいろいろと知っている
アニメももちろんすきなのだけど
石川県では鈴木大拙館に行ったとか
世界でも指折りの彫り師がこの(うちの店の)近所に住んでいて
看板も何も出してないが行って来たとか

なんでも彼のお父さんはイスラエルで工房をもっていて
もとは銃などの武器を開発していたのだけれど
いまはアーティスティックなものをつくっているそうで
かれもそこで作ったという日本刀の写真を見せてくれた

彼はとても面白いというか
interestingな人物だったので
「おわったあとBARにいかないか?」とさそわれて
まあ家庭もあるのでそういうのはめったに行かないが
今回はレアなチャンスなので行くことにしてみた

彼曰く
横浜のシーサイドに
バスをそのままBARにしているところがあるそうで
なるほど つまりそれは君のような外国人が夜な夜なつどって
外国人好きの日本人ギャルをひっかける盛り場なのですね
いいですね ぜひいきましょうと
なにかすてきなことが僕にも起こるのではないかしらと
下世話な夢をふくらませて 指輪をしまって出かけてみたわけですが

いざそのバスに着いてみると
あれこれは思ったより小ぶりというか渋いバスだわ(ワーゲンバスと路線バスの中間サイズくらい)
どうもこれはぼくの思ってたやつとちがうようだわと思いながら
入口のドアを開けて中に入ってみると
入ってすぐのせまいカウンター席には年のころ50代かしらという黒人 ジャズメン風
その両脇に これは年のころ40代かしらという 美しい日本の女性が 二人

ああ これはすいませんでした
僕は大変な勘違いをしていました
ここはぼくの思っていたような場所ではなく
大人の方々の社交場なのですね
僕のような若輩者がエントランスしてよいのでしょうか (まちがえた言い回しです)
すいません場違いでしょうが
などと思いながら粛々と入場させていただきました

薄暗い店内はずいぶん素敵な
僕好みのつくりで
人の手のはいったカオス
雑然としているようでマスターの気持ちが入っているのがよくわかる
そこら中にいろんな人の名刺
カウンターの背後にはなにやら色紙が
吉永小百合
うん そうですよね
なにも不思議でないです はい

BARのなかでイシャイくんとは
いろいろな話をしましたが
とくにおぼえていることは
「Do you believe destiny?」ときかれたことで
うーん 運命というと信じてるかどうかよくわからないけど
たとえば仙台をとくにプランなくふらふら歩いてたときに
なんとなくこっちの道いきたいな
それからこんどはこっちがいいな と歩いていると
あらなんだか気になるお店があるわ
あらよく見るとこれは「火星の庭」さんという僕が気になっていたお店じゃない
とかそういうことはあるし
そういうなんとなくの感覚みたいなものはわりと信じてるよというと
「オーソレダヨー」といって抱きしめられました(オーソレダヨーとは言ってないです)

そんな話をしながらBARでかかっていたJAZZの曲が
あらなんかいいかもと思ってきいてみると
マスターが「これは僕の友達のバンドでね」と言ってCDを見せてくれた
Fujii Kan Quintet というジャズクインテットで
ああいいですね さっきかかってた曲なんですかというと
さっきのは最後の曲だね 僕も曲名はわからないけど 見てみてというので
見てみると
最後10曲目のタイトルが「Israel」
となっている

あら

ねえねえイシャイくん destinyよ と
そんな言い方はしてないですが
マスターじつはこの彼もイスラエルから来てるんですよと言うと
へーそーおもしろいねと言ったか
へーそーと言ったか
もうあまりおぼえておりませんが

そんなこんなで帰り際
ふと奥の方をみやると 坂本竜馬の像がありました
あらもしかしてこのマスター 高知とゆかりがあるのかしら あたしも高知出身だわと
マスターに問うてみたところ
高知出身で 若いころはとくに郷土愛とかはなかったけれども
年をとってからなんとなく高知に帰ったときに 竜馬像を買ってきたといったか もらったと言ったか
これももうおぼえていないのですが

ああそうなんですか 僕も高知出身なんですよ
へえどこ 僕は窪川だけど
僕は久礼の生まれです 窪川は母方の実家です 文本酒造という造り酒屋ですがご存知ですか
へえそう 文本酒造は僕の先生だったよ あの先生は厳しくてね よく立たされたよ

ねえねえイシャイくん destinyよ と
そんな言い方はしてないですが
イシャイくんも destinyだねと 言っていたような

------

この話には後日談があって
マスターは僕の祖父母を学校の先生だったと思っていたようなのですが
どうやらその近い親戚がマスターの先生だったのではないかと
なんにせよ
窪川というと高知の片田舎の人口も少ない町なので
この横浜でその縁の方とお知り合いになれるというのはなかなか

マスターはその夜
なにやってるの お店やってるの
なんていうお店 どこ
とは聞いてくれたのですが
行くよ
とはひとこともおっしゃらなかったので
お店の雰囲気からしても この人の雰囲気からしても
これは来てくれるかもなと思っていたら
わりとすぐに来てくれて やっぱり義理堅い方だなと
(行くよ というひとほど 来なかったりするもので)

それからたまにお店に来てくれるようになり
今日は確定申告のためにレシートをまとめてて
この店はほんとに仕事がはかどらないね あははと
いまそこでいびきかいて寝てらっしゃいます


【漫画と文化と喫茶へそまがり】営業時間など詳しくはこちら → About 喫茶へそまがり

[PR]
by toshiokake2 | 2015-03-02 19:17
<< ■出張シャンソニエ倫巴里・家政... 2/28土 へそ句会 >>